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図録『山口啓介 後ろむきに前に歩く』

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3.11後の日本/混迷する世界で美術とともに生きるとは

美術家・山口啓介は、1980年代後半に大型の銅版画作品でデビューし大きな注目を集めました。以降、版画や絵画、立体など様々なかたちで、種子や花、人体などをモチーフとした有機的で壮大な作品世界を展開させています。

本書は、30年余に渡る山口の活動を紹介する展覧会「山口啓介 後ろむきに前に歩く」の公式図録です。
タイトルは、「人は未来を見ることはできず、見えるのは過去か、今という瞬間だけだから、後ろむきに前に進んでいるようなものだ。」という山口自身の言葉から付けられています。
耳当たりのよい言葉で飾られた未来志向に疑いを持ち、目を背けたい過去や現在にこそ目を凝らし、ぎこちなく蛇行しながらも自分の力で歩いていく。その途上で生み出される山口の作品は、曖昧にされてきた真実を暴くかのような鮮烈なヴィジョンを私たちに突きつけてきます。

原発に向かい歩き出す方舟、片目を共有する2つの顔、《震災後ノート》。作品の図版とともに、山口自身の言葉や文章、アトリエの撮りおろし写真やロングインタビューなどをふんだんに掲載しました。
アトリエの写真は、東欧の少女のポートレートなどで注目される写真家の山元彩香による撮りおろし。アトリエの凛とした空気が伝わる美しい写真も本書の見どころです。

イメージと言葉を行きつ戻りつしながら、作家の創作と思索をたどる一冊です。

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『山口啓介 後ろむきに前に歩く』
2019年6月8日発売
B6変、並製、232ページ

編集:竹口浩司(広島市現代美術館)、大久保美夏(ブルーシープ)
執筆・インタビュー:竹口浩司
デザイン:川村格夫
ISBN:978-4-908356-09-4

◯目次
枯野と幼年期の終わり/色身/膜の存在/イタリア旅行/世界地図/駒井哲郎の死/芸術の遺伝子[草稿]
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◯山口啓介(やまぐちけいすけ)
美術家。植物や遺伝子、方舟といったモチーフを通して壮大な作品世界を展開。2013年に参加した瀬戸内国際芸術祭では男木島の波頭に《歩く方舟》を設置。人を包み込むようなスケール感のある絵画のほか、版画、彫刻、インスタレーションなど様々なメディアによる作品を制作している。

◯展覧会
「後ろむきに前に歩く」
2019年 広島市現代美術館(広島)

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